両親のセカンドハウスを自宅として住み継いでいきたいという施主の思いに応えたリノベーション事例により、このほど「LIXILメンバーズコンテスト2023」の準グランプリ(リフォーム部門)を受賞した、ほしかわ工務店(群馬県高崎市)は、受賞も弾みにストック事業を今まで以上に強化する。同社専務で、4月に事業承継予定の干川彰仁さんは、住宅の価格高騰によってストック活用が広がると見られるなか、設計・デザイン力や社員大工による高い技術力を生かした高品質なリノベを提供しながら、自社の売り上げにおけるストック事業の比率を高めていく考えだ。
受賞した「セカンドハウスを住み継ぐ家」は、新幹線・安中榛名駅(安中市)に近い自然豊かな場所にあり、夫婦と3人の子どもが暮らす延べ床面積約95㎡の平屋だ。両親から受け継いだ住宅への思い入れが強かった施主が、相談した複数の住宅会社から、いずれも建て替えを提案されていたなか、干川さんだけが「築後17年とそんなに古くないのに壊してしまうのはもったいない。十分に活用することができるし、敷地のポテンシャルも合わせてとても素敵な住まいになります」と太鼓判を押したことが決め手になったという。
干川さんは「リノベは現場経験値が高く、積算もできる人が自らインスペクションしない限り正確な見積もりが難しい」とし、「新築メインの会社は精度の高いインスペクションや見積もりができず、工事で想定外なことが起きることも恐れ、つくり手側の都合で安易に建て替えをすすめがちではないか」と指摘する。6人の社員大工を擁し、高い技術力を備える同社では、精度の高い見積もりを出せることに加えて、施工中に判明した想定外の事態にも臨機応変に対応可能だ。
建築家の一場さんとコラボ
受賞した物件では、建築家の伊礼智さんや家具デザイナーの小泉誠さんの作品が好きという施主の価値観も考慮し、設計は伊礼智設計室出身で、現在、高崎市内に事務所を構える、ひとこと設計の一場由美さんに依頼した。外壁は、チョーキングが起きていたサイディングを撤去し、緑の多い風景に調和する塗り壁(そとん壁)の仕上げに。リビングの南面に設けた木製サッシによる1間半の大開口(プロファイルウインドー)と広いウッドデッキ、その先の庭を連続させることで、気持ちのいい外部環境を室内に取り込む。
そのほかにも・・・
この記事は新建ハウジング3月20日号3面(2024年3月20日発行)に掲載しています。
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