2024年春闘で大手企業の集中回答があった13日、前年を大幅に上回る賃上げが相次ぎ、日銀が模索するマイナス金利政策解除に追い風となりそうだ。18、19両日に開かれる金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現が見通せたと判断すれば、日銀はマイナス金利解除に踏み切る。
自動車や電機、鉄鋼などの産業別労働組合が加盟する金属労協の集計(13日時点)では、従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)が平均1万4780円と、前年の平均8131円を8割超上回った。日銀幹部は、連合が15日に発表する第1回回答集計で「企業の積極的な賃上げ姿勢を確認できれば、3月会合でマイナス金利解除を議論する」との考えを示している。
連合の第1回集計について、第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、定期昇給を含めた平均賃上げ率で「5%台の数字が出てくる可能性もある」と指摘。総務省が1月に発表した23年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の前年比上昇率3.2%を上回りそうだ。
日銀の植田和男総裁は13日の参院予算委員会で、「経営側から13日を含めて多くの回答が今後表明されるので、さまざまなヒアリング状況なども総合的に点検した上で適切に判断していく」と説明した。
日銀内には、中小企業への賃上げ波及を確認するため、4月会合まで解除を先送りすべきだとの意見もある。中小企業は大企業の動向を考慮し、方針を決める見通しだ。日銀内からは「深刻な人手不足の中、労働力確保のために大手に追随する動きとなる」(別の幹部)との見方が出ている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。