住友林業(東京都千代田区)の100%子会社Sumitomo Forestry Australia Pty Ltd.(SFAU社、豪州ビクトリア州メルボルン)はこのほど、豪州で植林および炭素クレジット創出事業を行うSFA-NBS社を設立した。
SFA-NBS社は、ビクトリア州東部ギプスランドエリアにある957haの新規植林用地を購入。同国で住宅建築用材として需要がある針葉樹を植林し、森林および製材品が空気中のCO2を吸収・固定する機能を活かして炭素クレジットの創出を目指す。
豪州では、2011年に制定された Carbon Credits (Carbon Farming Initiative) Act 2011に基づき、国内の炭素クレジットの創出・売買の制度が整備されている。Scope1の排出量が多い企業に対し排出上限を設け、超過分はクレジットによるオフセット義務が課される。2023年3月からは政府により排出上限がさらに厳格化されることが決まるなど環境規制の強化が進んでおり、炭素クレジットへの需要が高まる見込みだ。木造を中心とした住宅需要は中長期的な人口増加によって拡大が見込まれる一方、針葉樹の新規植林面積はこれまで限定的となっていることから、住宅建築用材として使用される針葉樹製材の供給拡大が期待されている。
住友林業は、2008年に豪州の戸建て住宅事業に参入し、2023年には全豪住宅着工数ランキングで3位相当まで規模を拡大している。また、ニュージーランドでは約3.6万haの森林を保有・管理しており、豪州でもその知見を活かしていくとする。今後は同事業の規模拡大の可能性について検証を進め、豪州での「ウッドサイクル」の実現を目指し、脱炭素化への取り組みを加速していく。
■関連記事
住友林業とGEI、木質バイオマス化学品の開発で協業
住友林業23年12月期、米国住宅単価下落で純利益5.7%減
住友林業、インドネシアで太陽光パネル標準搭載の分譲住宅
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。