帝国データバンク(TDB、東京都港区)はこのほど、2月の景気動向調査の結果を公表した。景気DIは前月比0.3ポイント減の43.9となり、2カ月連続で悪化した。国内景気は、株式相場など金融市場が好材料となったものの、消費者の節約志向の高まりや自動車の生産・出荷停止などが悪材料となり、小幅ながら悪化傾向が続いた。今後の景気は「悪材料が集中し下振れるが、夏以降から賃上げなど個人消費を中心に緩やかに持ち直すとみられる」とした。
「建設」は47.5(前月比0.2ポイント減)で前月のプラスからマイナスに転じた。能登半島地震の影響については、「住宅改修に対する関心が増加」(木造建築工事)「震災の復興・復旧工事が激増している」(屋根工事)との声がある一方で、「震災の影響を受け、延期になった物件が出てきた」(土工・コンクリート工事)などの影響もうかがえた。
そのほか、「ビル・マンションともに入居需要が高く、早いうちに大規模修繕のニーズが高まっている」(建築工事)「半導体の影響もある程度解消されてきて、工事の予定が早く組めるようになった」(給排水・衛生設備工事)などプラスの意見もあるが、「資機材価格は上昇しているが、設計金額は追いついていない。業者が多く、競合が継続しており、ダンピングも続いている」(舗装工事)「物価は上昇しているが発注単価は上がらない」(金属製建具工事)など、価格高騰の悪影響を指摘する意見も変わらず多かった。
「不動産」は48.3(同0.2ポイント増)で2カ月連続のプラス。ただし、「インバウンド増のほか、転居が多い時期のため活気がある」(不動産代理業・仲介)「間の大規模な建設開発案件が多く建設作業員の賃貸需要が増加しているため家賃が上昇している」(貸家)など好材料の一方で、「供給過多および原価高騰による影響」(建物売買)「空室が発生してもテナントからの引き合いが弱い。特に3階以上や広い床面積の場合、店舗・飲食系は難しい」(貸事務所)などマイナス意見も少なくない。
先行きについては、半導体関連を中心に好調とする声もあるが、「エアコンに関しては価格競争に巻き込まれ、一般消費者に原材料や賃金負担分を上乗せできない」(冷暖房設備工事)「コストアップにより収益が減少。人材も不足している」(一般土木建築工事)「職人が不足している。人材を確保するためには単価を上げないといけないが、顧客の負担が大きくなるため対応が困難」(木造建築工事)など、コスト高と人材不足が相変わらずマイナス材料として挙がっている。不動産業では「今後のゼロ金利解除から始まる金利の上昇による影響を懸念」(土地売買)「能登半島地震の被害状況により、中古木造建物の販売力が明らかに鈍化している」(不動産代理業・仲介)などの声があった。
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