総務省は3月5日、文化庁に対して実施した「『外国人の日本語教育に関する実態調査』のフォローアップ調査」について結果を公表した。実態調査は22年度に地方公共団体を対象に実施したもの。この中で日本教育の内容に地域差があることが指摘されたことから、文化庁に都道府県への情報提供や支援内容の改善を求めていた。外国人労働者数は23年10月時点で約204万人となるなど年々増加しており、外国人に対する日本語教育の重要性が高まっている。
文化庁は総務省に対し、地域での日本語教育活動を支援するための改善措置を報告。日本語教育活動に対する補助事業の拡充、外国人が独学で学習できる日本語学習サイトのコンテンツの拡充―などを実施した。
補助事業の拡充では、都道府県向けの補助事業「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」の補助率を、より質の高い体系的な日本語教育を行った場合に、従来の2分の1から最大3分の2に引き上げることを決定。対象となる教育事例として「生活Can do」を挙げた。「生活Can do」は、生活者としての外国人が日本語で行う言語事例(聞く・読む・書く・発表する・やり取りするなど)約800項目をまとめたもので、地域日本語教育コーディネーターや日本語教師などがカリキュラムやコースをデザインする際に役立ててもらう。
他に、地域の日本語教室で指導者の育成を行う「日本語指導サポーター養成講座」を開催し、育成した人材を日本語教室の空白地域で活用する試みなども行っている。
また、地方公共団体でオンライン講座を実施することが難しい場合に、外国人が独学で日本語が学べるよう、文化庁のホームページに日本語学習サイト「つながるひろがる にほんごでのくらし」を公開。対応言語数を開設当初の6言語から18言語に拡充した。対応言語は、中国語・英語・フィリピノ語・フランス語・インドネシア語・韓国語・ミャンマー語・タイ語・ウクライナ語・ベトナム語などとなっている。
オンラインを活用した日本語教育については、文化庁文化審議会国語分科会で、ICTを活用した日本語教育の在り方に関する検討を開始した。日本語教育におけるオンラインの活用の現状や課題について議論を行う。地域に向けた取り組みでは、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」(22年6月策定)の実施状況や進捗について毎年点検を行う予定。
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