不動産仲介業の倒産が急増　前年比7割増で過去最多―TDB

不動産仲介業の倒産が急増している。帝国データバンク（TDB、東京都港区）がこのほど発表した「不動産仲介業」の倒産動向の調査結果によると、2023年の不動産仲介業の倒産は、前年（69件）から7割増の120件と過去最多となった。

賃貸マンションやアパートの仲介・管理を手掛ける「街の不動産屋」の倒産が急増している背景に、収入源の1つである入居希望者への物件紹介数の減少があげられる。異動や進学で引っ越し需要が最も発生する各年3月時点の賃貸成約件数は、首都圏では2023年時点で約2万3000件と、3万件前後で推移していたコロナ前の8割前後の水準にとどまった。

転居時期を3月に限定しない動きが広がっていることに加え、在宅勤務の普及や優秀な人材獲得を目的とした「転勤」の制度見直しが大企業を中心に進んだことから、法人向け賃貸需要が伸び悩んでいるケースがみられた。また、引っ越し代の高騰や、建設費用・管理費の引き上げに伴う家賃の上昇から、個人の住み替えニーズも手控え感があり、業況が改善しない要因となっている。

大手仲介業者を中心に、DXを活用した情報発信・オンライン内見など先進技術の導入や、優良な築浅物件等を自社管理物件として囲い込む動きが進んでおり、今後、中小との格差が広がると想定されている。同社は、物件紹介の機会を失った業者の淘汰がさらに進むと指摘している。