岸田文雄首相は3月5日に開かれた参院予算委員会で、発注者と受注者間で上下関係を生み出す「下請け」という呼称について、変更の必要性を検討する考えを示した。公明党の西田実仁参院会長の「親事業者と下請事業者はパートナーであり、『下請法』という法律名を変更すべきではないのか」との質問に答えたもの。
質疑で西田議員は、価格転嫁に向けた交渉を行わずに一方的に単価を定める、いわゆる「買いたたき」について、これを禁止するために「下請法を改正すべき」と提案。これに対し、公正取引委員会・古谷一之委員長は、現行の枠組みにおいても問題のある事例については勧告や企業名の公表を行っていると説明。価格転嫁を円滑に行うために必要な政策があれば、下請法の改正の要否も含めて検討を進める考えを示した。そこで西田議員は、「中小企業団体から下請けという言葉の自粛を願いたいとの主張がある。下請けの呼称を変えるべきだ」と提案している。
これに対し、岸田首相は「現実としては下請事業者をパートナーと呼ぶ動きもある」と述べた上で、「下請法のあり方が、発注者が優越的地位にあるとみなすものだとの提案と受け止めた。現行の枠組みのもとで価格転嫁対策の円滑化に向けた検証を行い、下請法改正の要否も含めて幅広く検討したい」と回答した。
他に西田議員は、仕事を失う恐れから中小企業が価格交渉しづらい状況について、「中小企業が団結して価格交渉を行う団体協約制度は活用されているのか」と質問。岸田首相は「全国約3万の組合のうち、回答のあった1584組合の中で団体協約を締結している組合は186にとどまっている。全国中小企業団体中央会、地方版政労使会議との連携により、周知に取り組む」と答えた。
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