YKKグループ(東京都千代田区)は3月5日、都内で2023年度の連結業績(推定)と2024年度の経営方針を発表した。YKK AP(同)のAP事業は、売上高が前年比106.2%の5399億円、営業利益が同140.4%の250億円と増収増益を見込んだ。
魚津彰社長は「昨年12月に公表した業績予測時よりも市場が低迷した影響を受けた。2~3月の立ち上がりが遅かった」とし、売上高、営業利益ともに計画には届かなかったが、売上高は3年連続で過去最高を更新する見込み。政府の3省連携補助事業の効果が大きかった。省エネ改修需要が高まり、内窓を中心に住宅リフォームやビル改装商品が大きく伸長。樹脂窓は数量ベースで昨年比110%で推移した。海外事業も中国、台湾、インドネシアの新規チャネルを開拓、好調だった。
2024年度の重点施策としては、新築・リフォームの両分野で高断熱化と高付加価値化をさらに推進する。省エネ上位等級の訴求とさらなる樹脂窓の拡販により、高断熱化窓率を2023年度の80%から2024年度は90%に伸ばす計画だ。
10月には、APW430プロジェクト窓の断熱性能向上とアイテムを拡充する。断熱性能は、ガラス中空層を16㎜から18㎜にしたことで0.89W/㎡Kから0.82W/㎡Kに向上。アイテムには新たに高所用すべり出し窓等を追加する。また、高断熱玄関ドア「イノベストD50」をモデルチェンジする。デザインを17種から38種に増やし、カラーも刷新。普及価格帯の商品も追加する。
リフォーム分野では、2月に発売したマドリモ断熱窓 引違い窓ハイブリッド専用枠のほか、8月にドアリモ高断熱玄関ドアD50を発売する。無採光タイプは、補助事業における断熱最上位等級のSSグレードに対応した商品となっている。
■関連記事
YKK AP、戸建て用マドリモ・樹脂窓にハイブリッド専用枠
エクステリア事業では、引き続き建物と外構のトータルコーディネイト提案を進める。2024年度は、「住宅・エクステリア統括本部」を設置し「住宅本部」と「エクステリア本部」の政策連携を強化、2023年度は微減となったエクステリア分野の拡販につなげる。
魚津社長は、着工減の流れの中で、住宅単価をあげていく必要性を指摘。特に注文住宅の受注低迷により、分譲住宅にシフトしている住宅事業者を想定して、建物と庭(外構)がトータルコーディネイトされた空間・デザインを提案をすることで、分譲地のスペック段階で価値を高めていく考え。また、分譲住宅にも樹脂窓を採用し、断熱等性能等級6を分譲住宅でも実現するとした。そのために、「色、デザイン、サイズを限定するなどしてコストを抑えた分譲専用の樹脂窓を今年秋頃から用意したい」と話した。
2024年度は、2023年度同様に増収増益を目指し、売上高5779億円(前年比107.7%)、営業利益276億円(同110.3%)、営業利益率4.8%(+0.1ポイント)を計画した。
■関連記事
YKK AP 23年度増収増益を予想 木製窓の上市を明言
YKK AP 3Q大幅増益 国内で内窓リフォーム好調
YKK AP、中層建築向けカーテンウォールを発売へ
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。