政府は現在の外国人技能実習制度の廃止に伴う「育成就労」制度の創設に関し、激変緩和措置として、新制度のスタートから3年の移行期間を設ける方向で調整に入った。その間は現行制度を並行して残し、実習生として来日した外国人は所定の期間を終えるまで在留が認められる。政府関係者が3月2日、明らかにした。
政府は育成就労制度創設のための関連法案を今国会に提出する方針で、成立すれば公布後3年以内に施行する考え。新制度の開始は2027年を見込んでおり、移行期間は30年まで続く想定だ。
技能実習制度は1993年に開始。23年6月末現在で実習生は約35万8000人に上り、受け入れを仲介する監理団体や実習先企業は計6万5000を超える。
人手不足が深刻な地方や中小企業では、技能実習生が不可欠の労働力となっているのが現状。制度の廃止により、現場の受け入れ側に混乱が生じる可能性が指摘されてきた。
このため、育成就労制度が始まる前に現行制度の下で受け入れる技能実習生について、期間終了まで引き続き在留可能とするのが適当だと判断。実習期間は通例で3年となっており、これを踏まえて移行期間の幅を設定した。
この間は、技能実習生が勤務先を変える「転籍」(転職)の制限も維持。実習生が在留期間中に育成就労の資格に移行することは認めない方向となっており、期間終了後は一定の技能が必要な「特定技能1号」の在留資格を取得するなどしてもらう考えだ。
育成就労制度は、受け入れた外国人材を3年間で特定技能1号の水準に引き上げ、中長期的な在留につなげる制度。現行制度では原則として認めていない転籍について制限を緩和し、一定の条件を満たせば可能とする。
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