2月20日号に引き続き、令和6年能登半島地震被災地の工務店の声を取り上げる。今回は、液状化が発生した新潟県新潟市内の工務店に話を聞いた。同市内西部、海沿いに位置する西区では液状化が多発した一方、目立った被害が見られないエリアも多い。被害状況に応じた工務店の対応について紹介する。
1月3日の新潟市西区内。随所で砂混じりの水が噴出したり、地盤の沈下が起こった。住宅にも沈下や傾斜といった影響が及んだが、損壊扱いにはならず復旧は住まい手の負担になるケースも多い(撮影:新建新聞社リスク対策.com) |
自然派ライフ設計(新潟市東区)は、西区内に引き渡したばかりの顧客宅があった。地盤改良を施していたため幸い建物の被害はなかったが、裏手の擁壁に亀裂が発生するなど、危険な状況が続いている。また、建物自体は損傷していないが、液状化の影響で10㎝以上傾いた住宅もあった。
社長の大沼勝志さんは、揺れによる損壊とは異なる、地盤の被害にどう向き合うか悩んでいる。例えば液状化の被害は「建物が10㎝傾いたとしても、不自由とはいえ生活はできる。当然ながら半壊にもならないので、地震保険の保険金が下りたとしてもそう大きな額にはならないだろう」。地盤が沈下して勾配が変わり、下水に問題が起きても「保険が適用されるかは微妙なライン」と見る。
そのため「多数のお客様が(復旧・補修の)費用で困っている」状況だ。大沼さんは「西区を中心に、同じ理由で困っている住民は多いのではないか。いわゆる『在宅被災者』はかなりの数に上るだろう」と話す。
地盤の被害特有の復旧の費用や方法が課題に
西区に本社を置くユー・ハウス工業の取締役・五十嵐直樹さんも、住民にのしかかる復旧・補修費用に心を痛める。新潟市は独自の補助制度を創設し、申請期間も6月末まで延長したが・・・
この記事は新建ハウジング2月29日号3面(2024年2月29日発行)に掲載しています。
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