国土交通省は27日、マンションの修繕に備えて所有者が毎月支払う積立金について、引き上げ幅の上限を示した。急激な引き上げで支払いが滞らないよう、当初と比べて最大でも約1.8倍に抑えるよう提案。修繕資金を安定的に確保するため、計画的な積み立てを促す。
同日開いた専門家による作業部会で案を示した。年度内に取りまとめ、マンションの管理組合などに周知する。
積立金の額は、各マンションの管理組合が主に30年程度の修繕計画で必要な費用を見込んで設定している。同省は総額を均等割りした額を毎月支払う方式を推奨しているが、近年の新築マンションは、所有者の初期負担が少なくて済むよう、段階的に増額する方式を採用するケースが多い。
国交省は、計画初期の積立額について、将来の負担が大きくなり過ぎないよう、均等割りした場合の0.6倍以上に設定することを提案。計画期間中の引き上げ幅を最大で当初の約1.8倍に抑えるよう求めた。
同省の調査によると、修繕計画の初期から最終年までの引き上げ幅は平均約3.6倍。中には10倍を超えるケースもあり、所有者の合意が得られず積立金が不足することもある。計画に対して積立残高が「不足している」「不明」と答えた組合は全体の約3分の2に上っている。
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