国土交通省は2月22日、2023年第4四半期(23年10月~24年1月)の「地価LOOKレポート」を公表。全国80地区のすべてで、地価が5期連続の上昇または横ばいとなった。住宅地では、利便性や住環境に優れた地区でマンション需要が堅調だったことなどから、すべての地区で7期連続の上昇となっている。商業地では、店舗需要の回復傾向にあるほか、オフィス需要が底堅く推移し、上昇傾向が継続している。
同調査は、主要都市の高度利用地などにおける地価動向を調査したもの。全80地区のうち、地価が上昇したのは79地区(前回78)、横ばいが1地区(前回2)で、下落はなかった。 上昇地区79地区の変動率区分は、「上昇(3~6%)」が7地区、「上昇(0~3%)」が72地区。横ばいは「東京都江東区青海・台場(商業区)」のみ。取引需要は底堅く推移しているが、当面は賃貸市場の市況が現状を維持する予想。
福岡市大濠 優良マンション供給で上昇続く
住宅地で上昇率が「上昇(3~6%)」と高かったのは福岡市大濠のみ。大規模一般住宅の中にマンションが混在する地区で、分譲されたマンションの販売率が高水準を維持している。完成在庫もほとんどなく販売状況は堅調。マンションの開発が活発な福岡市内の中でも、特に優良なマンション供給エリアに位置付けられる当地区では、取引価格の上昇傾向が続いている。
商業地では、東京都中央区銀座中央、新宿区歌舞伎町、豊島区池袋東口、中野区中野駅周辺、横浜市みなとみらい、京都駅周辺(京都市下京区)で「上昇(3~6%)」に。このうち歌舞伎町、池袋東口、中野駅、みなとみらいは「上昇(0~3%)」からの移行となっている。
歌舞伎町、池袋東口はインバウンドによる商況の回復が主な要因。中野区中野駅周辺は、「中野サンプラザ」が23年7月で閉館し、再開発で地上61階、地下3階の事務所、住宅、店舗、ホテルなどが入居する大規模複合施設「NAKANOサンプラザシティ」に建て替わる予定。将来的にも地価が上昇すると予想される。
みなとみらいは、23年11月末時点のオフィスビルの空室率が10%超と引き続き高い水準にあるものの、東京都心と比較してオフィス賃料が割安であることから、館内増床や新規開設の需要が見られる。京都駅周辺は入国制限の緩和で外国人観光客が増加。飲食店舗・土産物など物販店舗の出店意欲が強い状況にある。期待感もあり、不動産市場は活況を呈している。
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