環境省はカーボン・オフセットの基本方針をまとめた指針およびガイドラインの改訂案について、2月28日までパブリックコメントを募集している。「カーボン・オフセット指針及びオフセットガイドライン改訂に関する検討会」で話し合われた内容を反映している。
同省では2008年にカーボン・オフセットに関する理解の普及や取組を促進する目的で、「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」を策定。同指針に沿って、カーボン・オフセットに関連するガイドライン類の整備や、温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の創設、カーボン・オフセット制度の創設などを行ってきた。
しかし近年、「IPCC報告書」など国際的なレポートやガイドラインでは、クレジットを従来の「温室効果ガス排出削減・吸収」ではなく、「排出削減・除去」に区別する傾向があることから、指針およびガイドラインの見直しを実施。国際動向を踏まえた内容に改訂する方向で検討を行った。
改訂案では、森林吸収だけでなく土壌炭素貯留やCO2回収・貯留・利用などを含むことを明確化するために「除去」の用語を追加し、すでに用語として浸透している「吸収」を併記する。カーボン・オフセットの定義についても「排出削減・除去」という表現を用い、市場型と非市場の区別をなくす。
CO2以外のGHG算定式も追記
他に、オフセットの類型の一部に曖昧な分類があったことから取組の内容を整理。クレジットが二重に使用(ダブルカウント)されないよう、「オフセット主体(誰が)」と「オフセット対象(何を)」を明確にした。
さらにカーボン・ニュートラルに関する国際的基準であるISO14068-1の内容を考慮し、より網羅的な算定対象範囲の設定や排出削減の取組について記述。CO2以外のGHGを想定した算定式が必要となっていることから、その算定式となる「温室効果ガス排出量 = 活動量 × 排出係数 × 地球温暖化係数」を追加した。国際イニシアティブや国内の報告制度におけるカーボン・クレジットやオフセットの扱いについてもガイドラインにまとめている。
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