住宅金融支援機構(東京都文京区)は2月20日、住宅ローンを取り扱う金融機関に対して実施した「2023年度住宅ローン貸出動向調査」の結果を発表した。回答機関数は301機関。新規の住宅ローンへの取組姿勢について「積極的」と回答した金融機関は、現状・今後とも積極的が72.1%で全体の7割を超えた。「現状維持」は27.9%、「消極的」を選択した金融機関は0%だった。
今後も「積極的」を選択した理由として最も多かったのは「貸出残高増強」(69.8%)で、次いで「家計取引の向上」(68.4%)、「中長期的な収益が魅力」(33.5%)が続いた。上位2つがともに約7割と3位以下を大きく引き離している。積極化の方策として約6割が「商品力強化」(63.0%)をあげており、「返済期間35年超のローンの提供」を強化する・している機関は、前回の44.9%から57.0%に増加している。
環境配慮型が増加
環境配慮型住宅ローンについては、「取り扱っている」が32.9%(前年度比2.4%増)、「取り扱いを検討中」が8.3%(同2.3%増)で、ともに増加している。同ローンの取り扱いは、検討中も合わせると全体の約4割を占める。また、取り扱っている金融機関での状況は、「年々増加している」が26.5%(同7.4%増)で、「ほとんどない」(18.4%、同8.6%減)と割合が逆転した。
環境配慮型住宅ローンの取り扱いを始めた理由は、「SDGsやカーボンニュートラルへの取組みの一環」が最も多く、前年度比9.5%増の67.7%と増加。環境に対する関心が高まるなか、住宅ローンの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みの一環として、取り扱いを開始する金融機関が増えているとみられる。
「リバースモーゲージ」の2022年度末の貸出残高は、1803億円(前年度比6.4%増)で増加傾向が続いている。各金融機関の貸出残高は、「1億円超」(40.0%)が最も多く、次いで「5000万円以下」(23.5%) 、「500万円以下」(18.3%)が続く。取組姿勢については「現状維持」が約7割を占め、「住宅金融支援機構の住宅融資保険(リ・バース60)」の利用が約6割と最も多い。資金使途は「リフォーム資金」「自宅の建設・購入資金」「既存住宅ローン借換資金」と、自宅を対象としたものがそれぞれ約8割となった。取り扱い上の課題には「高齢者及び相続人への商品説明」(86.1%)、「地価下落リスク」(45.2%)などがあげられている。
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