インフォマート(東京都港区)はこのほど、同社が提供する「BtoBプラットフォーム」のユーザーを対象に実施した「インボイス制度・電子帳簿保存法に関する実態調査」の結果を発表した。同調査は2023年10月にインボイス制度が開始、12月末に電子帳簿保存法の宥恕(ゆうじょ)措置が廃止されたことを受け、12月時点の企業の実態や課題を明らかにする目的で実施したもの。調査期間は2023年12月15日~22日、回答者は518名。
インボイス制度への対応で、請求書関連業務の負担が「増えたと感じる(とても感じる25.4%・やや感じる39%)」のは64.4%にのぼることがわかった。担当者別では、経理・財務担当者の「とても感じる」「やや感じる」が82.4%なのに対し、担当者以外では59.8%となり、経理・財務担当者の負担増が明らかとなった。
インボイス制度開始後、一番苦労していることを聞いたところ、第1位は「発行する適格請求書の記載要件チェック(20.1%)」、第2位は「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理(16.8%)」、第3位は「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック(14.5%)」だった。
発行・受領する請求書の処理時間については、発行業務の29.6%(n=260)、受領業務の39.6%(n=359)で「処理時間が増えた」と回答。具体的な業務内容として、発行側では消費税の計算、受領側では事業者登録番号の確認や記載不備のチェックなどがあげられ、業務フローの変化によって業務負担が増えている現状が明らかとなった。一方、「郵送の手間が省けた」「ペーパーレス化が進んだ」「請求書の処理時間が短縮された」など、デジタル化によるメリットも寄せられた。
インボイス制度開始後、約7割が「電子で受け取る請求書が増えた(増えた27.3%・少し増えた40.1%)」と回答しており、社会全体で請求関連業務のデジタル化が進んでいることがわかる。インボイスに対応していない請求書の割合は「全体の10%未満」が75.2%と最も多く、請求書の9割以上で適格請求書の要件を満たしていた。要件を満たしていない場合は、原則仕入税額控除の適用を受けられないため、ほとんどの事業者がインボイス制度開始にあわせて対応を行ったとみられる。
電帳法も7割以上が「負担増」
電子帳簿保存法への対応で、経理業務の負担が「増えると思う(かなり増えると思う32.4%・少し増えると思う38.6%)」と回答したのは7割以上となった。要件に対応した業務フローの変更やシステムの導入が必要なため、インボイス制度同様に業務の負担が増加するとみられる。7割が「紙と電子の混在」を大変だと感じており、さらなる負担増が懸念されている。
同社は、法令対応と業務効率化を同時に実現するには、「部分的な電子化」ではなく「業務フロー全体のデジタル化」が求められていると指摘している。
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