住宅生産団体連合会(住団連、東京都千代田区)は2月9日、ハウスメーカーなど14社を対象とした「経営者の住宅景況感調査(2023年度第4回)」を報告。第3四半期(23年10~12月)の総受注実績は、受注戸数が-55ポイント、受注金額が+15ポイントとなり、戸数は10期連続のマイナスとなった。金額は価格転嫁が進み2期連続のプラスとなっている。前期に続いて、戸建住宅受注のマイナスを賃貸・リフォーム部門で補う様子が見られた。
第4四半期(24年1~3月)の受注見通しは、受注戸数が-10ポイント、受注金額が+25ポイント。コメントでは戸建住宅について不安感を示す内容が目立ったが、「住宅取得支援策を活用しつつ、ZEH推進など高付加価値提案により前年越えを目指す」といった前向きな意見もあった。
戸建は9期連続のマイナス実績
部門別の実績では、戸建注文住宅の受注戸数が-31ポイント、受注金額が-17ポイントと戸数・金額ともに9期連続のマイナスに。子育てエコホーム支援事業など国の施策への期待感がある一方で、物価高や実質賃金低下や、景気の先行き不安から集客減が長引いているとのマイナス意見が多く見られた。また、エネルギー価格高騰と災害頻発化を背景としたZEH・蓄電池の搭載や、案件の大型化、特殊物件の受注割合が増え、受注単価は上昇傾向にあるとのコメントもあった。
戸建分譲住宅は、受注戸数-6ポイント、受注金額+25ポイントで、戸数は前回のプラスから再びマイナスとなった。低層賃貸住宅は、受注戸数+32ポイント、受注金額+59ポイントとなり、戸数・金額とも2期連続のプラスに。「戸建・分譲賃貸や大型物件が好調」など、大型化・高付加価値化による単価アップを好調要因に挙げるコメントが多かった。その一方で、融資環境が厳しいとの意見も見られた。
リフォームは、受注金額が+17ポイントと好調。補助金制度の後押しもあり、引き続き活発な動きが見られる。資材高騰・景況感悪化などにより、前年並みの実績にとどまる状況も見られた。
リフォームへの期待感高まる
部門別の見通しでは、戸建住宅が受注戸数-4ポイント、受注金額+17ポイントとなり、戸数は2期連続でマイナスの見通しとなった。戸建分譲住宅は、受注戸数±0ポイント、受注金額+19ポイントとなり、金額は3期連続でプラスの見通し。低層賃貸住宅は、受注戸数+18ポイント、受注金額+36ポイントとなった。リフォームは受注金額+46ポイントとなり、見通しとしては12期連続のプラスとなった。
住宅市場の今後の見通しについては、①「所得」は「上がる」が11社に増え、「変わらず」が3社に減った。②「家賃」は「上がる」が7社に増え、「変わらず」と同数となった。③「金利の動向」は「上がる」が10社と大幅に増え、「変わらず」が4社となった。④「資材価格」は「上がる」が9社で変わらなかった。⑤「建築の手間賃」は「上がる」が11社に増え、「変わらず」が3社に減った。⑥「地価の動向」は「上がる」が8社に増え、「安定化」が6社に減った。⑦「展示場来場者数」は、「増える」と「変わらず」の変化は無く、「減る」が6社に減った。⑧「技能職人数(大工)」は「充足」3社に減り、「不足」が11社に増えた。
調査は、令和6年1月上旬に住団連と住団連団体会員の会員企業の経営者にアンケートし、回答を得たもの。回答者は、旭化成ホームズ、一条工務店、大野建設、サンヨーホームズ、スウェーデンハウス、住友林業、積水化学工業、積水ハウス、大東建託、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナソニックホームズ、ミサワホーム、三井ホーム(敬称略、五十音順)。
受注戸数・受注金額の直近3カ月間の実績と今後3カ月間の見通しを、対前年同期比「10%程度・以上良い、5%程度良い、変わらず、5%程度悪い、10%程度・以上悪い」の5段階で調査。「良い」の割合から「悪い」の割合を差し引いた値を景況感指数として数式に当てはめて数値化している。
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