政府は16日、トラック運転手が不足する物流業界の「2024年問題」に対応するため、30年度までの物流効率化に関する中長期計画を持ち回りの関係閣僚会議で策定した。国が定める「標準的運賃」の見直しなどにより、24年度の運転手の賃金について、10%程度の引き上げ実現を目指す。また、倉庫前での荷待ちや積み下ろし作業にかかる時間を1人当たり年125時間削減する目標(19年度は750時間)も明記した。
岸田文雄首相は16日、首相官邸で物流効率化や運転手の賃上げを巡り、業界首脳らと意見交換。「労務費などの適正な価格転嫁により、物流に関わる中小零細事業者の賃金を大幅に引き上げる必要がある」と述べた。
標準的運賃は貨物自動車運送事業法に基づくもので、国土交通省が目安として示している。国交省は運転手の処遇を改善するため、平均で8%引き上げる方針だ。荷物の積み込み作業をはじめ、運送事業者が十分に受け取れていない料金を適正に収受できるようにする対策も併せて実施し、賃上げ原資の確保を後押しする。
また計画では、19年度時点で38%の積載率について、44%に引き上げることも提示。実現に向けて複数の物流事業者が連携して荷物を積む「共同輸送」を推進する。政府は、運転手の賃上げや荷待ち時間の削減などを含め、計画の達成度を毎年度確認する。
労働基準法改正により、今年4月から運転手の時間外労働の規制が強化され、物流の停滞が懸念される。政府はこのままでは30年度に34%の輸送力が不足すると試算。今月には、荷主や物流事業者に対し、荷待ち時間削減に向けた計画の作成を義務付ける物流関連法の改正案を国会に提出した。
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