新建ハウジングでは、能登半島地震の発生から1カ月が経とうとしていた1月下旬から2月初頭にかけ、被災地の工務店に聞き取り調査を行った。地域によって被害には差があるものの、それぞれに苦労しながら対応を進めている。今回は石川県、富山県の工務店の声を紹介する。
震度6強を記録した石川県七尾市では、1万2795棟の住宅が被害を受けた(2月8日時点)。同市で長年活動する工務店・浜建設にも、1月2日から主に屋根瓦の被害に関する相談が相次ぎ、約3週間に渡り対応に追われたという。社長の浜敦さんは、自身も長期に渡る断水などに苦しめられつつ、被災住宅の応急修理に当たっている。
ただ、取材時点(1月30日)では「ブルーシートで雨風を防ぐなど、応急修理がやっと。まだ本復旧の工事には取り掛かれない」という。屋根・瓦職人の多忙さも応急処置がやっとという状況に拍車をかけている。
同市内では資材の配送にも支障が出ているため、転倒したエコキュートの交換なども「道路事情が改善してもメーカーの対応がわからず、先が見通せない」ため、めどが立っていない。
正月を返上して対応にあたる
自身の安全確保も重要
被害の大きい地域では、土砂や倒壊した家屋、隆起によって道路が危険な状況になっている。顧客を訪問する際などは自身の安全確保も忘れずに(写真提供:ひまわりほーむ 小山泰広さん) |
ひまわりほーむ(石川県金沢市)の小山泰広さんは、1年ほど前まで能登エリアの営業を担当していた。そのため、発生後は担当者としてOB顧客らに連絡を取っていたが、営業開始の5日、被災した顧客の対応を統括する任を与えられた。
同社に寄せられた問い合わせはまず小山さんに集約され、小山さんが担当者を割り振って、各自が対応に当たるというスキームだ。問い合わせの内容や対応の進捗状況は、社内システム上で小山さんが随時把握している。「この仕組みは地震発生後、急ごしらえで整えたもの。大変だが今は何とか回っている」。
道路が通行止めになったため、奥能登地方のOB顧客をすぐに訪ねることはできなかった。大きな被害がなかったことは電話で確認したが「すぐに対応できないもどかしさを感じた」。
とはいえ無理やり行くのも危険だ。まずは ・・・
この記事は新建ハウジング2月20日号1〜3面(2024年2月20日発行)に掲載しています。
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