国土交通省は、1981年(昭和56年)6月1日に施行された新耐震基準以前に建築された建物に対する耐震化促進策を強化する。1月25日に開かれた社会資本整備審議会建築分科会・建築基準制度部会で、耐震診断の徹底のための規制措置の対象を広げ、小規模住宅も含めた全建築物とするなどとした、第一次報告骨子案を提示した。
国交省の案では、住宅や小規模建築物も耐震診断・耐震改修の努力義務対象とするほか、指示・公表対象に避難路沿道建築物を加えるなど規制を強化する方針が示された。大規模な病院や劇場、デパート、学校などの一部の建築物については耐震診断を義務付ける方向。
会合では、弁護士の齋藤拓生委員と全国中小建築工事業団体連合会の石川忠幸委員が個別に意見を発表した。
齋藤委員は、1981年以前に建築された住宅・建築物については、耐震診断を義務化し、現行の基準を満たさない場合は一定期間内に改修か解体除却も義務付けるしくみを提案。診断・改修・解体にかかる費用について国や地方自治体が相応の負担を行う案を提示した。
石川委員は、密集地を対象に1981年以前に建てられた住宅・建築物で現行の耐震基準を満たさないものを所有権移転を2回までに制限すること、国や自治体が解体費・改修費用の30%補助金を出し耐震住宅の認定を行うことなどを提案した。
骨子案では、耐震化の阻害要因に基づき、1)耐震化に要する費用負担の軽減、2)耐震性の必要を認識させるための耐震診断の徹底、3)信頼できる業者の育成、4)適切な工法・費用・効果等が判断可能な情報提供・相談体制の充実、5)居住・使用状況に大きな支障をきたさない新たな耐震改修工法の活用促進―と5つの方向性を提示。各項目について具体策を提案した。
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