政府は9日、外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議を首相官邸で開き、外国人技能実習制度を廃止して新制度「育成就労」を創設する政府方針を決定した。外国人材を3年間で一定の技能水準に育成し、中長期的な在留につなげる。働く場所を変える「転籍」(転職)は、分野ごとに最長2年まで制限可能とする。政府は今国会に関連法案を提出する方針。
岸田文雄首相は会議で「わが国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立って、決定した方針に基づき制度の見直しに向けた作業を進めていく」と述べた。
育成就労は「人材確保」の目的に重点を置き、受け入れた人材を最長5年働ける「特定技能1号」の水準に育成する制度。熟練技能が必要な「特定技能2号」を取得すれば、事実上無期限の滞在や家族の帯同が可能となる。
転籍を原則として認めない現行制度は、賃金の未払いや長時間労働といった権利侵害の背景と指摘されてきた。政府有識者会議は昨年、転籍を認めた上で制限期間を1年とするよう提言。だが、自民党は都市部に人材が流出するなどとして2年とするよう求め、政府方針は当分の間、業務内容によって分野ごとに「1~2年」の範囲内で期間を設定するとした。
外国人材の受け入れや勤務先の監督を担う監理団体は「監理支援機関」に名称変更。外部監査人の設置を義務化し、独立性・中立性を高める。悪質な転籍ブローカーを排除するため、民間職業紹介事業者の関与は当分の間認めない方針も盛り込んだ。
政府方針は永住許可を申請する外国人の増加を見据えて永住許可制度の適正化にも言及。政府は納税や社会保険料の支払いなどの公的義務を怠った場合に永住許可の取り消しを可能とする法改正を検討している。
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