帝国データバンク(TDB、東京都港区)は2月5日、2024年1月の景気動向調査結果を公表した。景気DIは前月比0.7ポイント減の44.2となり、4カ月ぶりに悪化した。国内景気は、能登半島地震の影響や、暖冬による季節商品の不振、自動車メーカーの不正問題などがマイナス要因となり、改善傾向がストップした。今後の国内景気は、2024年問題など構造的な悪材料を抱えるなか、賃上げの継続が焦点となり横ばい傾向で推移するとし、能登半島地震については、消費の自粛ムードを危惧する声もあがっているとしている。
「建設」は47.7(前月比0.5ポイント増)で前月のマイナスからプラスに転じた。公共工事や災害復旧需要、マンション建設、設備投資等で受注が安定しているとの声が聞かれる一方、「能登地震や大阪万博、TSMC関連など大きな案件により、材料が不足し、工事の遅延が発生する恐れがある」(電気通信工事)、「震災復旧のためこれら資材がさらに入手困難になるとみられ、完成工事高の大幅な下振れが予想される」(電気配線工事)など、震災等の影響を懸念する声が目立った。
一方「不動産」は48.1(同0.6 ポイント増)で3カ月ぶりに改善。「都市開発が進み、人流が回復、飲食店舗などの活気が回復している」(貸事務所)など大都市圏での再開発事業が好材料。「価格高騰はしているものの新築分譲マンションの供給が少なく、低金利も後押しになり売れ行きは比較的好調」(不動産代理・仲介)といった声も聞かれた。また、物件価格の高騰の持続で今後の購入意欲の低下を危惧する声もあがっている。
先行きについては、「材料高で新築よりもリフォーム、リノベーションが増」(木造建築工事)、「災害防止関連の公共事業や自然エネルギーなどが増加」(土木工事)など好材料の一方で、「新型コロナの収束で回復しつつある一方で、物価高に加え、能登半島地震により労働力や建設資材、国家予算が復旧・復興に回される」(一般土木建築工事)、「働き方改革による人材不足や材料費高騰の継続による影響は続く」(防水工事)、「材料費や輸送コストは上昇するが価格転嫁できない」(貸家)など、人材不足や資材の高騰・不足の影響を懸念する声も、変わらず少なくなかった。
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