「これでいいじゃんって感じの平家30.5坪置いておきますね」(原文ママ)。X(旧Twitter)で“没プラン”を公開しているのが、茨城県在住の“まつ/住宅設計/茨城”こと松山良太さん(@RyotaMatsuyama1)さんだ。1200以上のいいねを集めたポストもある。「Xでの活動が受注に結び付くわけではないが、誰かの参考になれば」と話すまつさんだが、根底には高性能住宅にかける強い思いがある。
提案後に新たな要望が出たから、顧客がその土地を買うのをやめたから―など、投稿されているプランが没になった理由はさまざまだが、どれも松山さんが時間と労力を費やして検討している。「供養の意味も込めて」、1年半ほど前からXへの投稿を始めた。
松山さんは2023年6月まで茨城県内の工務店に勤務しており、現在もある住宅会社の社員として働いている。実現していない案ではあるが、施主の迷惑にならない範囲で投稿することを心掛けている。
性能一辺倒ではない親しみあるアカウント目指す
Xのプロフィールに「UA値0.4以下C値0.5以下、快適でカッコよくて使いやすい家づくりを目指して」とある通り、松山さん自身は高性能住宅を推している。また、前職でのツーバイフォー工法の設計経験から、構造計画も得意分野。プラン検討時は耐震等級3が大前提だ。
ただ、X上では「フランクな、手の届く存在」でいることを心掛けている。時には住宅と関係ない、日常生活についても投稿する。いわゆるプロ施主など、性能に強い関心を持つ人が多いXで“気楽に絡める人”のイメージを演出し「交流しながら高性能住宅を身近に感じてもらい、自然とそれを選ぶぐらいの状況が、高性能住宅の普及にとってはいい」と考えている。
また、特に生活者の関心が高い間取り(平面)だけではなく、外観のパースもセットで投稿しているのもポイント。「性能だけを追求してデザインが置き去りにされている、と思う人もいる中、高性能で、かつかっこいい家ができることを知ってほしい」との理由から、デザイン(かたち)についても発信しており、性能重視の人、デザインが大事だと考える人、双方にヒットしているようだ。
基本は生活者に向けた発信だが「プロにも見てほしい」とまつさん。高性能住宅がより多くの人に広がるように「同じような発信をしてくれる方が増えると嬉しい」という。
この記事は新建ハウジング2月10日号3面(2024年2月10日発行)に掲載しています。
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