アグリトライ(長野市)の同社初となる断熱等級7の住宅が、小布施町内に完成した。隣接する、同社が施工中の建築家・飯塚豊さんが設計した断熱等級6の住宅の現場とあわせて1月18日、工務店や設計者向けの見学会を開いた。
町を挙げて景観形成に取り組み、まちづくりのモデルケースとして全国からの視察も多い同町内に並び立つ住宅ということもあり、屋根形状や外壁の素材(板壁)・色彩の調和、外構の連続性など「小さな街並みづくり」も目指すプロジェクトだ。性能や意匠に優れる家づくりに意欲的に取り組む県内外のつくり手が訪れ、断熱等級7の温熱環境や飯塚さんの設計手法を体感した。
同社の大工が施主の断熱等級7の住宅は、3世代が暮らす木造2階建て・延べ床面積36坪。UA値0.22W/㎡Kで、C値は0.4㎠/㎡。許容応力度計算による耐震等級3で、制振ダンパーも採用した。屋根断熱は高性能グラスウール400㎜厚ブローイング、壁は柱間に同105㎜厚を充填し、2層あわせて同195㎜(90㎜+105㎜)厚の付加断熱を行った。床の断熱は、大引間に同90㎜厚、根太間に同105㎜厚を施工。窓はLDK南面の大開口にスマートウィン・佐藤の窓、その他はエクセルシャノンの樹脂サッシ(UF-L)トリプルガラスを採用した。各室に設置したパネルヒーターで暖房し、冷房は2階の壁掛けエアコン1台で賄う。
等級7の標準化も視野に
9年前から断熱等級6、耐震等級3(許容応力度計算)を標準仕様とし、今回初めて等級7を手がけた同社常務の小嶋健二さんは「業界でよく言われるように自分でも等級7はオーバースペックかなと思うところはあったが、実際にこの“マイルドでエクセレント”な温熱環境を体感すると、コストアップ分を踏まえたとしても十分な価値があり、いまはどこかのタイミングで等級7の標準化に踏み切りたいと考えている」と話した。
また、小嶋さんは、能登半島地震における被害の状況なども念頭に置きながら「耐震等級3の性能を長期的に担保していくという面でも制振ダンパーも標準仕様にしていきたい」と意欲を見せていた。
隣の飯塚さんの設計による住宅は・・・
この記事は新建ハウジング2月10日号2面(2024年2月10日発行)に掲載しています。
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