国土交通省は2月2日、「マンション標準管理規約」の改正に向けてパブリックコメントを開始した。建物と居住者の「2つの老い」に対応するため、所修繕積立金の変更予定の明確化や所在不明の区分所有者を探索する際の対応などについて新たに盛り込む。また、脱炭素化の推進や物流問題の解決を目的として、EV(電気自動車)用充電設備、置き配・宅配ボックス設置に係る要件を追加する。意見募集は3月2日まで。
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マンション政策の見直しへ “2つの”高齢化への対応強化
改正案では、①組合員名簿・居住者名簿の整備、②所在が判明しない区分所有者への対応、③EV用充電設備設置の推進、④置き配・宅配ボックス設置、⑤修繕積立金の見える化、⑥管理に関する図書の保管、⑥デジタル化への対応―などの項目について見直しを行った。
組合員名簿・居住者名簿の整備については、組合員などの住所に変更があった際に管理組合に届け出ることを記載。所在不明の区分所有者により管理に支障が生じる場合に区分所有者の探索を可能とすることや、探索に要した費用を区分所有者に請求できることを記載内容に含める。
修繕積立金の変更予定の見える化では、総会時に▽長期修繕計画上の積立予定額▽現時点の積立額の差▽修繕積立金の変更予定―を開示するよう求める。また、マンションの資産価値の向上を目的として、積立金の変更予定などをマンションの購入予定者に向けて開示することを認める。
EV用充電設備設置の推進に向けては、設置時の費用負担、使用料などのルール、設置工事を行う際の決議要件などを売買時の管理情報に追加することを盛り込む。
置き配に対する対策では、地面設置型の盗難防止用バックが使用されるケースが増えていることから、使用細則により廊下、階段、避難口に避難上の支障となるような状態での宅配物の放置を禁止する内容を明示。置き配サービスを活用できる時間帯、可能な置き場所、置き配を禁じる内容物などについて定め、記載することを求める。
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