厚生労働省が6日発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年比2.5%減だった。物価高騰に賃金上昇が追い付かず、2年連続のマイナス。下げ幅は消費税増税の影響で2.8%減だった14年以来、9年ぶりの大きさとなった。
23年春闘では、30年ぶりとなる高水準の賃上げが実現したが、物価高の勢いには及んでいない。実質賃金のマイナス解消には賃上げの継続とともに、中小企業への広がりが必要となる。
23年は基本給と残業代などを合わせた名目賃金が、労働者1人当たり平均で1.2%増の32万9859円。このうち基本給が中心の「所定内給与」が1.2%増え、残業代を含む「所定外給与」は0.3%増えた。賞与など「特別に支払われた給与」は2.0%増だった。一方、実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は、前年比3.8%上昇した。
名目賃金を就業形態別にみると、正社員ら一般労働者が1.8%増の43万6849円。パートタイム労働者は2.4%増の10万4570円だった。1人平均の総実労働時間は、0.1%増の136.3時間。所定内労働時間は0.2%増え、所定外は0.9%減った。
一方、同時に発表された23年12月分(速報)の実質賃金は、前年同月比で1.9%減少。21カ月連続で前年を下回った。
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