東京商工リサーチ(東京都千代田区)は2月2日、2023年「全国社長の年齢」調査の結果を公表した。社長の平均年齢は63.76歳と前年を0.74歳上回り、調査を開始した2009年以降、過去最高を更新した。
年代別では、70代以上が35.49%(前年33.3%)と最も多く、初の30%台後半に達した。前年から上昇したのは70代以上のみで、事業承継の遅れが浮き彫りとなった。年齢別の企業業績をみると、「増収」は30代以下が62.0%で最も高く、唯一60%を超えた。一方、70代以上の増収企業は45.57%と最も低く、赤字企業は25.9%と最も高かった。70代以上は「赤字」「連続赤字」の割合が他の年代より高く、年齢と業績に逆相関がみられた。同社は、社長が高齢化するほど長期的展望に立った設備投資や経営改善に消極的になりがちで、業績が伸び悩む傾向にあると指摘している。
産業別では、不動産業が65.64歳(前年64.80歳)と最も高く、唯一60歳代後半に達した。70代以上は40.8%と突出している。平均年齢が最も低かったのは、ベンチャー企業が多い情報通信業の57.90歳(同57.75歳)で、30代以下(6.4%)、40代(19.9%)の構成比が10産業で最も高く、70代以上は17.3%と唯一20%を下回った。
都道府県別では、高知県の65.96歳(前年64.94歳)が3年ぶりにトップとなった。次いで、秋田県65.70歳(前年65.33歳)、富山県65.40歳(同64.35歳)が続き、上位3県は65歳超えとなった。最年少は、広島県の62.67歳(同61.83歳)だった。
後継者難倒産が最多を更新
2023年の「後継者難」倒産は、429件(前年比0.9%増)と4年連続で最多を更新した。「休廃業・解散」した企業は4万9788件で、70代以上(66.6%)は2019年(56.0%)からの4年間で10.6ポイント上昇。平均年齢は72歳で、4年連続70歳超えとなった。倒産や休廃業・解散に、社長の高齢化が影響している可能性があり、「70歳」が事業継続を判断する境目となっているとみられる。
同社が2023年11月に実施した「後継者不在率」調査では、後継者のいない企業が61.0%と6割を超えている。高い技術力を持つ企業や、雇用・地域経済に欠かせない企業の事業継続は重みを増しており、国や自治体、金融機関の支援が必要だとしている。
同調査は、同社の企業データベース(約400万社)から2023年12月時点の代表者の年齢データを抽出、分析した。「社長」は代表取締役社長のほか、個人事業主や理事長などを含む。
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