YKK AP(東京都千代田区)は2月1日、防火設備にも対応する中層建築物向けユニタイズドカーテンウォール「SYSTEMA 81u」を4月30日に発売予定だと発表した。ユニット工法を中層建築物にも採用し、品質の安定化や省人化、工期短縮、安全確保を実現。高意匠商品「SYSTEMA」シリーズで、中層建築市場にさらなる攻勢をかける。
人手不足などを背景に現場では建設技能者の減少や、働き方改革による計画的な工期の見直しなど、あらゆる課題を抱えている。例えば足場の倒壊防止における安全対策の厳格化は現場管理者の負荷増に繋がる。
従来、ユニット工法は足場が設置できない高層・超高層建築物でオーダー対応品にて採用されており、中層建築物では外部足場からの施工を行うノックダウン工法が主流だったが、建設現場の課題解決に貢献するため、 同社はユニット工法を規格品化した製品を展開していく。
同日に都内で開いた新製品発表会で魚津彰社長は、「いよいよビルの高断熱化にも舵を切っていく」と力を込めた。2030年までに中層建築向けの高断熱窓比率50%を目標に掲げる。
同製品は、工場で加工から組立・ガラス施工までを一貫生産した完成品ユニットを現場へ搬入する。完成品ユニットをクレーンで吊り込んで施工するため外部足場が不要。同社によると、ガラス施工も無いため、工期を約1/3に短縮し、人手不足の課題解決に寄与する。
「SYSTEMA」シリーズの特長である軽快な意匠とわかりやすい機能を踏襲しつつ、基本3性能(耐風圧・気密・水密)に加え、都市部で必要となる防火設備にも対応した。
防火・非防火、可動窓・FIX 窓で統一
中層建築物では防火窓と非防火窓が混在するケースや、換気窓や非常用進入口を設ける場合がある。このように違う用途の窓が同一面に設置される場合でも、たて部材の見付を65㎜、横部材の見付を70㎜に揃えているため、外観意匠の統一が可能だ。
耐風圧性は高さ 60m相当の中層建築物に対応する3000Pa、水密性1500Paを確保。防火設備にも対応する。都市部では隣接する建物との距離が近い場合が多く、隣地寄りの部位では防火設備の対応が必要となる場合が多く、同製品はこのような条件下でも採用できる。
高さ 2700㎜のフルハイトに対応し、大開口での換気窓の設置が可能。換気時の開口幅を約 100㎜に制限することにより、安全性にも配慮。非常用進入口は、外部ハンドルの見付を極力抑えたスリムな形状とし、 機能性を求める窓でありながら意匠性にも配慮させた。
最大サイズは、幅(W)1800㎜×高さ(H)4200㎜。参考価格は、FIX 窓ユニット幅(W)1200㎜×高さ(H)4200㎜の場合、50万3000円。
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