アンドパッド(東京都千代田区)がこのほど建設業従事者を対象に実施した「時間外労働の上限規制厳格化(2024年問題)に関するアンケート調査」の結果によると、同制度の開始を4月に控え、制度そのものの認知は進んだものの、回答者の半数以上が残業を減らすための取り組みができていないことが分かった。
同調査は20~69歳の建設業従事者(一般社員・管理職・経営層)を対象に実施した調査で、有効回答数は1442件。業種は新築住宅(注文・分譲)、リフォーム、内装・サッシ・ディスプレイ、外構・エクステリア・造園など16業種。調査は23年10月に行われた。
まず、同制度を理解できているか(認知度)については、27.8%が「よく理解している」、28%が「少し理解している」と回答。「知らない」と答えたのは11.4%のみで、認知が広まっている様子がうかがえる。
その一方で、残業抑制への取り組みについては、「すでに取り組んでおり、残業削減の効果が出ている」と答えたのは23.4%にとどまり、「すでに取り組めているが効果はまだ出ていない」(20.5%)、「現在は取り組めていないが、今後は取り組む予定がある」(24.5%)、「取り組めていないし、今後も取り組む予定がない」(16%)などの回答が多く見られた。
さらに残業時間別に見ると、残業が45時間以上におよぶ企業の方が取り組みを行っていない、あるいは取り組んでいるが効果が出ていないことが分かる。実際にどのような取り組みを行っているかについては、いずれの業種も「労働時間・残業時間の管理」「週休2日制の導入」「退社時間の呼びかけ・声かけ」が上位となっている。
実際にどのような業務に時間を要しているかについては、全体の3割が「現場での作業・監督業務」、2割が「報告書・図面・見積などの書類作成」と回答。新築住宅、空調、ガス・水道、不動産業種では、「書類作成に時間が掛かる」と答えた人が最も多かった。一方、減らしたい業務については、全業種で「書類作成」が最多となった。他に、作業時間は要していないものの、「現場写真の整理の時間を削減したい」との声も多く見られた。
こうした状況を踏まえて、取り組むべき内容について尋ねたところ、「工期設定の見直し」「週休2日制の導入」「人員の増強」などの回答が上位となった。また、導入すべきツールについては、「施工管理」を挙げる人が圧倒的に多かった。
同社は調査結果を分析し、「取り組みを開始していない企業ほど長時間の残業をしている傾向にあり、制度適応に向けた取り組みの開始・浸透を急いで図る必要がある」と指摘。書類作成の業務効率化にはDXツールの活用が有効であると提案している。
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