帝国データバンク(東京都港区)は1月26日、全国2万7143社を対象に実施した「2024年問題に対する企業の意識調査」の結果を発表した。有効回答企業数は1万1407社(回答率42.0%)。建設業や運送業などに4月から時間外労働の上限規制が適用されることで、人手不足・輸送能力の低下などが懸念される「2024年問題」について、「マイナスの影響がある」とした企業は59.9%だった。「プラスの影響がある」は1.6%、「影響はない」は22.3%だった。
物流の2024年問題に限ると「マイナスの影響がある」企業は68.6%となり、「建設」70.7%、「卸売」79.6%など6業界で7割を超えた。「不動産」は48.1%だった。企業からは「物流コストの増加が製品単価上昇につながり、景気は後退する」など今後を不安視するもののほか、「長い目で見れば自由時間が増え、若い人も入りやすくなる」といった前向きな声も聞かれた。
「2024年問題」全般に対する具体的な影響を聞いたところ、「物流コストの増加」(66.4%)が最も高く、次いで「人件費の増加」(41.0%)、「人手不足の悪化」(40.0%)、「配送スケジュールの見直し」(32.4%)が続いた。業界別では、「物流コストの増加」は「製造」で8割超え、「配送スケジュールの見直し」は、「製造」や「卸売」「小売」といった荷主側の業界で平均より高くなっている。「建設」は、「人件費の増加」「人手不足の悪化」など10項目中8項目で平均より高く、特に「建設コストの増加」(51.5%)、「従業員の負担増大」(29.5%)などは9業界の中でトップだった。
物流の2024年問題に対して、対応(予定含む)を行っている企業は62.7%だった。4社に1社が「特に対応しない」(26.4%)と回答した。「対応あり」の企業に具体的な対応策を聞いたところ、「運送費の値上げ(受け入れ)」(43.3%)が最も高く、「スケジュールの見直し」(36.3%)、「運送事業者の確保」(24.9%)、「発着荷主と運送事業者双方での連携強化」(24.2%)、「業務のシステム化や効率化の推進」(20.0%)が続いた。
業界別では、「運送費の値上げ(受け入れ)」は「運輸・倉庫」「卸売」「農・林・水産」が5割以上。「スケジュールの見直し」は「建設」(40.6%)や「不動産」(37.3%)などで高く、DXなど「業務のシステム化や効率化の推進」は「金融」(44.4%)、「不動産」(28.3%)、「サービス」(27.5%)で高かった。
「荷待ち・荷役時間の把握・削減」は、「運輸・倉庫」(32.4%)、「製造」(12.2%)、「農・林・水産」(9.1%)が高いが、荷主側企業の対策意識の低さがうかがえた。
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