木造住宅の外皮性能向上が進む中、耐久性向上のためにも外皮や小屋裏の通気・換気の重要性も高まっている。屋根換気部材メーカー11社からなる屋根換気メーカー協会(以下屋換協)では、技術顧問の松岡大介さん(ものつくり大学教授)との共同研究などを通じて、さらなる木造住宅の耐久性向上を追求している。同協会会長のタニタハウジングウェア代表取締役社長・谷田泰さんと事務局長のトーコー開発営業部部長・楠木義正さん、松岡さんに話を伺った。
谷田 当協会は2011年、国土技術政策総合研究所(国総研)の研究会を契機に発足した。部材メーカーとしては、屋根の換気不良による小屋裏結露、木材の腐朽など深刻な事故事例を少なからず経験しているが、研究が進むにつれ、多少雨水が浸入したり、結露が起きたとしても換気がしっかりとなされれば深刻な被害には至らないことが、我々メーカーと住宅のつくり手双方で理解が深まってきた。
ただ、屋根(小屋裏)の通気・換気に関する基準やガイドラインとしては、住宅金融支援機構の「木造住宅工事仕様書」、JASS12の15節「棟換気(屋根換気)」しかないのが現状。しかも換気量の値は長年変更されておらず、近年増加している屋根断熱もほとんど考慮されていないという課題もある。
屋根の頂部から空気を抜く棟換気は、確かに空気の流れを考えると理には適っているが、屋根勾配の違いや、給排気を1カ所にするか複数箇所にするかによって効果も変動すると考えており、複数の棟換気メーカーが集まり、情報を共有することでより住宅の耐久性向上に寄与する製品を開発していきたい。
単に換気製品をつければ耐久性が上がるというわけではない。どのような理屈で、どのように「空気の流れをデザインする」のか、松岡教授の研究にも協力しながら協会をあげて取り組んでいく。
楠木 谷田会長が挙げた住宅支援機構の基準は、我々としてはあくまで最低限の基準だと捉えている。日本では、最低の基準を満たせばそれでよいと思われがちだが・・・
この記事は新建ハウジング1月30日号6面(2024年1月30日発行)に掲載しています。
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