令和6年能登半島地震では、石川県珠洲市や輪島市で深刻な建物被害が発生した一方、金沢市周辺や富山県、新潟県でも地盤の崩落や液状化など、宅地の被害が多発している。令和5年奥能登地震(2023年5月5日)の被害を現地で調査し、今回も1月4~5日に金沢市周辺で被害状況を調査しただいち災害リスク研究所所長・理学博士の横山芳春さんに、現時点での見解を聞いた。
金沢市とその周辺では造成地盤の被害や液状化が発生している。同市田上新町の、比較的新しい分譲地では斜面が崩落して、その際(きわ)にあった3棟の住宅が被害を受けた(写真1)。そのうち1棟だけが土砂災害警戒区域にぎりぎりかかっていたものの、2棟は区域外にあったとみられる。腹付盛り土が崩落した可能性はあるが、大規模な盛り土はなさそうだった。
ハザードマップだけで考えると2棟はリスクが低そうに見えるし、大規模盛土造成地でもない。不動産取引時の重要事項説明の対象にもならない。しかし、地盤の専門家としてはイエローゾーンに等しい立地だ。
斜面の際はそもそも崩れるリスクがある。警戒区域に指定されているかどうかとは別問題で「ぎりぎりセーフ」もないと考えてほしい。
液状化による流動で 建物等の被害拡大か
砂丘の周縁には水分を含んだ、低い砂地盤ができやすい。砂丘の多い北陸ではこうした地域も多く・・・
この記事は新建ハウジング1月30日号4面(2024年1月30日発行)に掲載しています。
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