厚生労働省は、一人親方など労働者以外の労働災害の防止を目的に、「改正労働安全衛生法に基づく省令」の内容に合わせて、「労働安全衛生規則」「ゴンドラ安全規則」「ボイラー及び圧力容器安全規則」「クレーン等安全規則」の改正を行う。パブリックコメントを経て、24年3月下旬公布、25年4月1日施行の予定。
労働安全衛生法(安衛法)では、制定当初から保護対象を労働者に限定していたが、同じ場所で作業を行う労働者以外の人についても労働者と同様に保護されるべきだとして、同法に基づく省令を改正。23年4月1日から危険な作業を行う際に、一人親方、下請業者などに対しても、危険が切迫した際の待避や立入禁止、作業時の保護具の着用などの措置を行うよう義務付けている。
今回の改正では、安衛法で示された「事業者の講ずべき措置」の対象範囲を拡大。上記4規則で▽危険な場所への立入禁止▽特定の場所での喫煙禁止▽事故発生時に特定の場所からの退避―などの措置について、これまで「労働者」となっていた内容を「作業に従事する者」と改める。この「作業に従事する者」には、現場監督や資材の搬入・積卸しなどの作業者、危険有害作業を行っている事業者とは契約関係がない事業者と労働者、個人事業者(一人親方)と家族就業者、資材搬入業者、警備員も含まれる。
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石綿則などではすでに義務化
石綿障害予防規則(石綿則)、粉じん障害防止規則、高気圧作業安全衛生規則、酸素欠乏症等防止規則など11省令では、すでに事業者に作業を請け負わせる一人親方や下請業者、労働者以外の人に対する措置を義務付けている。
請負人に対する措置では、▽請負人だけが作業を行う時も事業者が設置した局所排気装置などの設備を稼働させる▽請負人にも作業方法を周知する▽請負人にも保護具を使用させる―ことを義務化。労働者以外の人に対しては、▽危険が及ぶ場所については立入禁止、喫煙・飲食禁止▽退避させる必要がある時は労働者以外も退避させる▽化学物質の有害性を掲示する場合は労働者以外の人も見やすい箇所に掲示する―ことを事業者に求めている。
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