帝国データバンク(東京都港区)は1月19日、能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケートの結果を発表した。有効回答企業数は1255社。地震による企業活動について、「影響がある(見込み含む)」とした企業は全国で13.3%、北陸では43.2%にのぼった。
「既に影響が出ている」企業は全国で4.3%で、「社屋の一部が破損し部材が転落」など地震による直接的な被害のほか、「材料が納入できず、工期延長が発生」「取引先の工場が被災し別製品に切り替えた」のように、被災地域以外でもサプライチェーンなどへの間接的な影響がみられた。「影響の有無を確認中」は7.4%、「現時点で影響はない」企業は75.3%だった。影響を受けていない企業のなかにも、「仕入先の工場などの稼働状況がどうなるのか」のように、今後の影響を懸念している様子がうかがえた。
「影響がある(見込み含む)」割合を規模別にみると、「中小企業」は12.1%と全国(13.3%)より若干低くなった。一方、比較的幅広い取引ネットワークを持つ「大企業」は20.1%と、全国を6.8ポイント上回った。被災地である北陸の企業からは「被害は甚大だが、自粛・萎縮マインドにともなう地域経済活動の停滞も心配」として、復興への継続支援と風化させない取り組みが必要だという声があがっている。
企業防災の大切さ実感
企業防災(企業が行う自然災害への対策)については、94.9%が大切さを改めて実感したと回答。今回の地震を機に、改めて大切だと考えた防災対策を聞いたところ、「飲料水、非常食などの備蓄」(39.2%)が最も多く、4割近くにのぼった。次いで「社内連絡網の整備・確認」(38.3%)、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」(31.6%)、「非常時向けの備品の購入」(28.4%)が続いた。
政府が推進する「事業継続計画(BCP)自体の策定・見直し」(20.6%)は、5社に1社となった。被害軽減につながる可能性がある「建物や設備の強度確認、耐震補強」(10.7%)は約1割にとどまっている。企業からは「自社が行っている対策で、災害時にどこまで対応できるか不安。建物老朽化の確認や、地域での事前対策の必要性を感じた」といった声が寄せられた。
アンケート期間は1月12日~17日で、甚大な被害を受けた能登地方の企業にはアンケート要請を行っていない。
同社調査によると、能登地方に本社を置く企業は4075社、能登半島に営業所や工場などの拠点を進出している企業は890社にのぼり、今後部品・商品などの供給停滞や遅延などの影響が次第に顕在化するとみられる。同社は災害復興とともに、代替調達などの対策や、関係機関によるサプライチェーン全体の影響の確認、支援が求められると指摘。また、自然災害の被害を最小限に抑えるためには、企業を含めた社会全体で防災・減災対策を強化することが必要だとした。
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