帝国データバンク(TDB、東京都港区)は1月11日、2023年12月の景気動向調査結果を公表した。景気DIは前月比0.1ポイント増の44.9となり、3カ月連続で改善した。国内景気は、年末需要が堅調だったなかで、暖冬による季節商品の不振や自動車メーカーの不正問題などがマイナス要因。今後の国内景気は、持続的な賃上げや金利動向などを受け、横ばい傾向で推移するとみられるとし、また、能登半島地震による影響も懸念されるとした。
「建設」は47.2(前月比0.6ポイント減)で3カ月ぶりに減少。設備投資やインフラ関連工事が順調と言った声が聞かれる一方、「民間建築(特に新築)の着工件数が大幅に減少している」(とび工事)、「需要はあるが、大型物件の中止や延期で2024年3月まで仕事量が薄い。消耗材の値上げ分を十分に価格転嫁できず、利益率が圧縮している」(鉄骨工事)などの厳しい意見が目立った。
また、「不動産」は47.5(同0.4ポイント減)と2カ月連続で悪化。「新型コロナの感染が落ち着き、飲食店需要の回復とともに出店需要が旺盛となっている」(貸事務所)、「市場に商品が少なく売り手市場となっている。融資姿勢が積極的な金融機関も出てきている」(建物売買)、「都心部のシングル向けの賃貸住宅市場はリモートワーク普及の影響で新型コロナ後の回復が鈍い(貸家)などの声が聞かれた。
先行きについては、設備更新や改修時期による受注が見込まれる一方で、「職人不足が発生するため1年後は仕事があっても利益が出ない現象が発生すると考える」(内装工事)、「生コンやダンプトラック運搬費などの値上げ通知が来ており、設計単価に反映されない時期での発注であれば、差額分の持ち出しとなる」(土木工事)、「建設資材価格や人件費の高騰による費用の増大」(不動産代理業・仲介)、「建築費や金利の上昇により、価格転嫁が厳しくなってきている」(建物売買)など、コスト増の影響が継続するとした意見が多かった。
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