矢野経済研究所(東京都中野区)は1月18日、国内の住宅用断熱建材市場に関する調査結果を発表した。2022年度の市場規模(7分野計)は、数量ベースでは前年度比0.9%減の34万5336tとわずかに減少したが、金額ベースでは同4.5%増の1818億円と推計。高性能断熱材の販売増加による単価上昇や、原材料費・物流費の上昇による価格改定の影響で金額増となった。
住宅用建材市場では、大手企業を中心に環境への取り組みをサプライチェーン全体で進める方針が強くなるなか、断熱材メーカーにおいても自然由来の原料を用いた商品開発やリサイクルシステムの構築、環境配慮型商品ブランドの発足など、各社の強みを活かした取り組みを展開。2023年は、CO2排出量の可視化や、環境への取り組みに関する第三者機関の認定取得などを行っている。今後は、断熱材の生産から断熱材を使用した建築物の解体時までの幅広いフェーズにおいて、CO2排出削減に寄与する素材・工法の開発、生産プロセスの開発、リサイクルシステムの構築など、「環境への取り組み」が要点になるとみられる。
2023年度の同市場規模は、数量ベースでは前年度比0.2%増の34万6000t、金額ベースでは同3.3%増の1878億円の見込み。これまで、住宅の断熱等性能等級4の標準仕様化やZEH化は、大手ハウスメーカーが中心だったが、2025年度から全ての新築住宅に「省エネ基準適合」が義務づけられ、長期優良住宅などの認定基準が引き下げられたことから、地域工務店も含めた住宅供給事業者全体に高断熱化への取り組みが拡大。新築住宅の高断熱化ニーズの高まりにより、同市場は拡大すると予測する。
同調査では、断熱材7分野(グラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、セルローズファイバー、ビーズ法ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム)のうち、住宅用に使用されたものをメーカー出荷ベースで算出した。
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