中小企業庁は1月11日、能登半島地震被災地域での復旧・復興工事において、発注時に地域の建設業者を活用し、地域への精通度などの評価項目で適切に評価するよう、各府省の官公需担当者や都道府県知事に要請した。緊急性・迅速性が損なわれないよう配慮すること、効率的な施工が期待できる役務・工事において、適切な地域要件を設定することなどについても求めている。
この要請は、政府が今回の震災を激甚災害指定したことに伴い、被災した中小企業・小規模事業者を支援する目的で行ったもの。他に、▽官公需相談窓口で中小企業・小規模事業者からの相談に適切に対応すること▽受注機会の増大に努めること▽中小企業・小規模事業者が対応できるよう納期・工期の設定に配慮すること▽「令和5年度中小企業者による国等の契約の基本方針」(4月25日閣議決定)で示した予定価格を作成すること―についても要請した。
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下請企業との取引時にも配慮を
また同日、関係事業者団体の代表者に対しても、下請中小企業との取引時に配慮するよう要請を行っている。過去の大規模災害発生時に、下請事業者の責任によらない受領拒否や返品、支払遅延、従来の取引先から発注が受けられなくなったなどの相談が寄せられた経験から、親事業者に適切な措置を講じるよう求めた。また、地震によって影響を受けた下請事業者が事業活動を維持・再開する場合には、できる限り従来の取引関係を継続し、優先的に発注するようにと要望している。
下請法上問題となる行為についても明示した。例えば、震災の影響により下請事業者が親事業者から預かっていた物品を破損させた場合に、親事業者が損害賠償請求し、下請代金から損害額分を減額することのないよう注意を促した。物品が破損したのは震災のためであり、下請事業者に責任があるとは言えないからだとしている。
また、震災の影響により生産・調達コストが大幅に上昇した場合に、下請事業者が単価引上げを求めたにもかかわらず、親事業者が従来の単価を据え置くことについても問題になると説明。親事業者と下請事業者との間で十分に協議を行って単価を決定することを求めた。
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