政府は16日の臨時閣議で、昨年末に決めた2024年度予算案の変更を決定した。能登半島地震の復旧・復興費用に充てるため、自然災害など不測の事態に備える一般予備費を5000億円から1兆円に倍増。一般会計総額は112兆5717億円に増えた。政府は予算案を26日召集の通常国会に提出し、3月末までの成立を目指す。
政府がいったん決めた予算案を短期間で変更するのは異例。直近では、19年度予算案の閣議決定後に厚生労働省の統計不正が発覚し、雇用保険の追加給付分を増額した。
24年度予算案は変更後も、一般会計総額が過去最大だった23年度当初(114兆3812億円)を下回る。減額編成は12年ぶり。追加財源はすべて赤字国債の発行で賄い、新規国債発行額は5000億円増の35兆4490億円。財源不足を補う国債の割合(国債依存度)は31.5%と、昨年末の決定時より0.3ポイント上昇した。
政府は3月末まで、23年度予算で残っている一般予備費約4600億円を活用する。第1弾として、被災自治体の要請を待たずに物資を緊急輸送する「プッシュ型支援」に充てる47億3790万円の支出を今月9日に決定。近く第2弾として1000億円超の支出を決める方針だ。
鈴木俊一財務相は臨時閣議後の記者会見で、国会審議を経ずに政府が自由に支出できる予備費を倍増した理由について、「復旧・復興の段階などに応じ、切れ目のない機動的な対応を確保するためだ」と説明した。政府は16年の熊本地震でも、発生翌月の5月に、予備費を含めて総額7780億円の補正予算を編成した。
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