能登半島地震で被害を受けた石川県では、依然として8市町の5万戸超で断水が続いている。長期間の断水は過去の震災でも生じ、住民の生活再建の足かせとなってきた。国は水道管の耐震化を促しているが、9県は耐震化率が3割に満たず、改修が進んでいない地域も多い。
珠洲市や輪島市など6市町は、ほぼ全域で水の供給が止まったままだ。七尾市では約3400戸が復旧したが、水質検査が未実施のため飲料水として使えないという。約1万戸の断水が続く輪島市でも破損した水道管などの修復作業が続く。
長期間の断水は、過去の災害でも繰り返されてきた。厚生労働省によると、阪神大震災は約130万戸、東日本大震災は約256万戸で断水が発生。断水期間はそれぞれ最長で約3カ月、約5カ月に及んだ。
同省は2008年に省令を改正し、水道施設の耐震化を促進しているが、主要水道管は想定される最大規模の地震に耐えられる「耐震適合率」の全国平均が21年度末時点で41.2%にとどまる。
政府は28年度末までに60%以上に引き上げる目標を掲げている。ただ、21年度末時点で最も高い神奈川県の73.1%に対し、9県が3割未満と地域差が大きい。石川県は36.8%だった。
避難所では、断水に伴う感染症や災害関連死のリスクも高まっている。石川県によると、15日には避難所などで新型コロナウイルスなど急性呼吸器感染症が90人、ノロウイルスなど消化器系感染症が15人確認された。武見敬三厚労相は「マスクの着用を含むせきエチケット、手洗い、手拭きや換気などを可能な範囲で実施してほしい」と呼び掛けている。
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