建築家の坂茂氏はこのほど、同氏が代表を務めるNPO法人「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」と坂茂建築設計を通じて、能登半島地震の被災地に紙管間仕切りシステム(PPS:Paper Partition System)と段ボールベッドを提供。1月9日には石川県金沢市の額谷ふれあい体育館に、13・14日には珠洲市緑丘中学校に設営した。今後、内灘町にも同システムが設営される予定。
このプロジェクトには、小松マテーレ、良品計画、石川県インテリアコーディネーター協会、アトリエ・ホーボーケン一級建築士事務所、久坂和之建築設計事務所も協力している。
PPSは、紙管のフレームに布を掛けた簡易的な間仕切りシステム。柱・梁となる紙管を組み合わせ、ガムテープで固定した後、カーテンとなる布を掛けて安全ピンでとめる。区切られたスペースは2m×2mで、紙管の梁を連結することで、空きスペースの形状・広さに合わせてグリッド状に拡張ができる。軽量で短期間での設営が可能なだけでなく、アルコールを消毒することで繰り返し活用することができるといった特長がある。
PPSはこれまでに、国内外のさまざまな災害避難所や感染症対策の受け入れ施設で使用されてきた。国内では東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、西日本豪雨・北海道胆振東部地震(2018年)、九州南部豪雨(2020年)などの避難所で、海外ではトンガ噴火・津波支援、ウクライナ難民支援(2022年)、トルコ・シリア地震支援(2023年)などで活用された。
「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」は、坂氏が代表を務める住環境に関する支援団体。国内外の大規模災害発生時に、被災者へ住空間支援事業を行うほか、防災訓練を通じた防災・減災意識の啓発に関する事業を行っている。これらの活動により坂氏は、マザー・テレサ社会正義賞(2017年)、読売国際協力賞(2019年)、アストゥリアス皇太子賞平和部門(2022年)など、さまざまな賞を受けている。
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