岸田文雄首相は14日、能登半島地震に関し、幅広いインフラ復旧事業を国が代行する意向を表明した。大規模災害復興法に基づく「非常災害」に近く指定する。月内に1000億円超の予備費使用を決定する考えも明らかにした。石川県庁で記者団に語った。首相はこの日、元日の発災以降で初めて被災地を視察した。
政府は既に、同地震を激甚災害に指定し、広範な復旧事業を対象に国の補助率を引き上げている。特定非常災害にも指定し、運転免許証の有効期限延長など行政上の特例を適用。新たに非常災害とすることで、被災自治体が管理する橋や道路、河川、港湾の復旧工事を国が代行できるようになる。
首相は県庁で馳浩知事から、財政支援など15項目の要望書を受け取った。この後、記者団に「被災地、被災者のためにできることは全てやる決意だ。生活となりわい再建支援に全力で取り組む」と強調した。
首相はこの中で、被災世帯に対する「緊急小口資金」特例貸付の受け付けを1週間後をめどに開始すると表明。企業が支払った休業手当を補助する「雇用調整助成金」の補助率を引き上げ、支給日数も通常の100日分から300日分まで延長すると語った。
検討中の支援パッケージに関しては、インフラやライフラインの復旧、仮設住宅の確保、中小企業・農林水産業・観光業への支援などを「幅広く盛り込みたい」と強調。「早急に対応可能なものから実行に移していくため、予備費の決定を行う」と語った。2024年度予算案の予備費についても、1兆円に倍増する閣議決定を16日にも行うと説明した。
首相は自衛隊の輸送機とヘリコプターを乗り継ぎ、石川県に入った。珠洲市で避難所となっている市立緑丘中学校を訪れ、入浴施設や仮設トイレを見て回った。被災者に対し、首相は2次避難を推進する考えを示し「必ず将来ここに戻って来られるように、地元の仮設住宅はじめ環境整備を並行して進めてもらう」と伝えた。
輪島市では航空自衛隊輪島分屯基地で隊員らを激励。避難所の市立輪島中学校を訪問し、ヘリで上空から被害状況を視察した。首相には松村祥史防災担当相、馳知事が同行した。
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