国土交通省は1月9日、移住・二地域居住を促進するための施策の方向性について具体的な事項をまとめた中間とりまとめを公表した。国土審議会推進部会移住・二地域居住等促進専門委員会が23年10月から3回にわたって審議したもの。①住まい(住環境)、②なりわい(仕事)の確保・新しい働き方、③コミュニティ(地域づくりへの参加)―の3点について、課題と具体的な対応について示している。
このうち住まいに関しては、▽ニーズに合った住まいの不足(住みたくても住める家がない)▽経済的負担の軽減(貸す側・借りる側への公的支援が必要)▽お試し居住・長期滞在の促進(移住を前提とした居住体験)▽住生活環境の充実(子育てや移動などに便利な住生活環境)―などが課題として上がった。また現状としては、地方部を中心として空き家が増加する一方で、若者や子育て層などのニーズを踏まえて活用できる物件は少ないことから、多様なニーズに対応した空き家の活用を求めた。
そこで、ハード・ソフトの両面での基盤整備を推進。空き家の活用に向けた具体的な取り組みとして、①中間支援組織による空き家の掘り起こし・活用などのサポート体制構築、②空き家活用に関する国の支援制度の活用、③自治体や不動産会社など官民が連携して取り組みを行うためのパートナーシップ構築、④不動産会社など民間事業者が空き家対策に取り組むための環境整備、⑤都市計画法や建築基準法の手続きの円滑化―などを推進することとした。
併せて、公的賃貸住宅の活用・整備を通じて、地方で不足する賃貸住宅を供給することを提案。地域住民との交流の場や新たなビジネス機会の創出にも繋がるシェアハウスの整備支援などを通じて、住まいの確保を図るべきだとした。お試し居住・長期滞在などに活用可能な住宅の整備についても取り組みを進める。各府省庁連携による取り組みでは、不動産業者の空き家業務に係る報酬の明確化や移住者の住宅ローン支援策について、今後検討される予定。
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