東京商工リサーチが15日発表した2023年の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年比35.2%増の8690件で、2015年(8812件)以来8年ぶりの高水準だった。物価高や人手不足が深刻化し、サービス業や建設業など幅広い業種に拡大した。負債総額は3.1%増の2兆4026億4500万円と、17年(3兆1676億3700万円)以来の高水準となった。
産業別では、1992年以来31年ぶりに10産業全てで前年を上回った。
要因別では、物価高による倒産が645件と2.2倍に増加。人手不足関連の倒産は158件と13年の調査開始以降最多となるなど、影響が深刻化した。物価高倒産のうち「人件費高騰」が原因の倒産が59件と8.4倍に急増しており、商工リサーチは「資金力を超える背伸びした賃上げの是非を検討する時期にきている」と分析している。
新型コロナウイルス関連倒産は36.3%増の3127件。サービス業を中心に、業績が回復せず事業継続を断念する企業が多かった。また、コロナ対策として実施した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は1.4倍の631件だった。
今後の動向について、商工リサーチは「24年は4月に民間金融機関によるゼロゼロ融資返済がピークを迎え、資金繰りが一段と厳しくなる企業が増える。1万件の壁を越える可能性も出てきた」と指摘する。
23年12月の倒産件数は33.7%増の810件で、21カ月連続で前年を上回った。
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