国土交通省は、マンションの共用部分に宅配ボックスを設置しやすくするため、区分所有者の合意要件を明確化する。マンション管理規約の指針となる「標準管理規約」を今年度内に改正し、総会出席者の過半数の賛成で可能とする。4月から時間外労働の規制が強化され、運転手不足が懸念される物流の「2024年問題」に対応する狙いだ。
区分所有者の合意形成の場となる総会の決議には、日常の管理運営に関し出席者の過半数の賛成を求める「普通決議」と、重要議案を対象に所有者の4分の3以上の賛成が必要な「特別決議」がある。宅配ボックスの設置がどちらに該当するかは標準規約に示されておらず、設置が進まない要因の一つとなっていた。
このため国交省は、設置工事に伴う共用部分の変更が小さい場合は、普通決議での対応が可能との考え方を提示。住民の利便性向上や、再配達削減の観点から宅配ボックスの設置を促す考えだ。
約4000件のマンションを対象に実施した20年の民間調査結果によると、宅配ボックスの設置率は70.8%。ただ、築31年以上に限ると、新築時に設置されていない物件が多いことなどから1割を下回っている。
国交省は、玄関先に荷物を置く「置き配」については、長時間の放置により避難の支障とならないよう求めているが、管理規約などに定めるべき項目として、▽置くことが可能な場所▽置き配できないもの▽放置できる期間―などを示す。
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