土木学会地震工学委員会(酒井久和委員長)は、1月9日にオンラインで開催した能登半島地震に関する速報会で、発災後に被災地で行った現地調査などの結果について報告。この中で、旧耐震の建物の被害が深刻だったことや、新耐震基準で増改築した住宅に被害が見られたことなどを明らかにした。
地盤が軟弱な市街地で強い揺れ
速報会ではまず、地震の概要について説明。地震は2024年1月1日16時10分に発生し、マグニチュード(M)7.6、能登地方で震度7~6強、石川・富山・新潟の平野部で震度5強を観測。震源地は能登半島の北側で、深さは16km。北東・南西走向の逆断層型の地震と見られる。
産業技術総合研究所・吉見雅行研究員の報告によると、主な被害は家屋倒壊(輪島市、穴水町、珠洲市、能登町などで多数)、津波、地すべり(小規模な河川閉塞あり)、液状化など。地殻変動については能登半島北岸で隆起、志賀・能登島では沈降が見られた。陸域での変動の最大は能登半島北西端で、西方へ移動したことが確認されている。自治体の防災想定で考慮されていない断層もあった。
京都大学防災研究所・後藤浩之教授の報告によると、能登半島では2007年にM6.9、2023年5月5日にもM6.5の地震が発生。今回の地震の2~4分前にもM5.5の地震が発生している。震源域の波形を確認したところ、震源付近で少なくとも2つの波群が認められたことから、2つの大きな破壊があったと考えられる。これにより大きな揺れが20秒間程度継続した。
主な観測地のうち、「K-NET輪島」(輪島市河井町)は比較的地盤が良い場所であることから、地盤が軟弱な市街地ではさらに強く揺れた可能性がある。
耐震補強をした建物にも被害
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