再造林コストを含めた価格で伐採前の樹木(立木)の取引を行う「立木市場」の開設に向け、林業・木材の業界団体は11日、報告書をまとめた。森林所有者が再造林経費などに自らの収入となる利益分を上乗せして最低価格を設定し、インターネット上で取引する。森林面積の7割を占める民有林の持続的な経営と国産材の利用拡大が狙い。
同市場で売買された立木の伐採地については、買い手側が植林状況を確認できる仕組みを導入する。2024年度にも岩手県岩泉町、長野県伊那市、宮崎県美郷町などで実証実験を始め、数年以内に全国的な市場の開設を目指す。
国内の半数以上の人工林が樹齢50年超の「切り時」を迎え、伐採と植林が急務となっている。しかし、低価格での原木売買が続いたため、多くの所有者が伐採後の植林を行えず、再造林面積は3割止まり。山地の荒廃が進んでいる。このため業界団体でつくる「国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会」などが昨年8月に有識者検討会を設置し、新市場の開設について議論してきた。
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