帝国データバンク(東京都港区)は1月10日、2023年の「建設業」倒産動向調査の結果を発表した。2023年の建設業者の倒産件数は、前年比38.8%増の1671件と急増した。リーマン・ショック期の2008年(前年比17.3%増)を上回る増加率で、30%を超えたのは2000年以降初。件数もコロナ禍前の2019年(1414件)を上回り、8年ぶりに1600件を超え、2014年以降で2番目の多さとなった。
負債総額は、前年比52.5%増の1856億7800万円と大幅に増加。大手パチンコチェーンのグループ会社で店舗建設を担っていたMG建設(負債214億5000万円)とガイア・ビルド(同155億1600万円)の2社を除くと、1件あたりの平均負債額は8900万円となり小規模事業者の倒産が中心であることがわかる。
地域別では、「北海道」が前年比210.0%増の62件、「九州」は50.5%増の158件と過去10年で最多となった。コロナ禍で業績・財務が悪化したところに、案件が活発化し急回復したことで、資金繰りが追いつかない業者の倒産が増加傾向にある。
倒産急増の背景には、資材高騰や人手不足などに伴う「建設コストの上昇」があり、請負単価が上げられずに元請け・下請けともに収益力が低下しているのに加え、人手不足による工期延長を引き起こしている。元請から下請業者への支払延期要請も多く、孫請け以下の関連業者全体の資金繰りにも影響している。
コロナ禍のゼロゼロ融資の導入などで、つなぎ融資の調達が難しい業者も多く、受注を確保しながらも手元現金がショートする「黒字倒産」も発生している。コロナ禍で政策的に倒産が抑制されていた揺り戻しもあるとみられるが、同社は業者数の急激な減少は、地域経済に影響する可能性もあると指摘している。
建設業界では、残業時間の上限規制(2024年問題)の2024年4月適用に伴い、価格転嫁や工期の適正化が進められているが、下請業者への浸透には時間がかかる可能性もあり、さらなる建設コスト上昇、倒産増加が懸念されている。
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