厚生労働省は12月25日、2024(令和6)年度予算案のうち、国土交通省と連携して推進する「建設業の人材確保・育成」に関する施策の概要を取りまとめた。「人材確保」「人材育成」「魅力ある職場づくり」を重点項目として、若者や女性の建設業への入職・定着の促進、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として取り組む。「人材育成」に関する取り組みでは、大工の担い手確保・育成にも予算を投じる。
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「人材確保」に関する施策では、建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上に向けた取り組みを実施。予算額として、▽建設事業主に対する助成金による支援(72億円)▽ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援(48億円)▽働き方改革による建設業の魅力向上(2.1億円)▽「つなぐ」化事業の実施(2800万円)▽高校生に対する地元における職業の理解の促進支援(1900万円)―を計上する。
他に23年度補正予算として、働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業に2.1億円を投入し、モデル事業などを実施する。
■参考:厚生労働省「つなぐ」化事業(建設業若年者理解・定着促進事業)
建設業の魅力向上に向けては、①適正な工期設定による働き方改革の推進(工期設定の実態調査)、②建設業の生産性向上の促進(地域建設業の災害対応)、③建設技術者の担い手確保の推進(効率的な技術者配置など)、④地方の入札契約改善推進事業、⑤建設キャリアアップシステムの普及促進や適正な雇用関係の促進(一人親方対策など)、⑥建設職人の安全・健康の確保の推進(労働災害の撲滅)、⑦建設産業の担い手確保に向けた女性・若者の入職・定着の促進―を行う。
大工の担い手確保でDX化支援
「人材育成」に関する施策では、若年技能者を育成するための環境整備を行う。予算額は、▽大工技能者の担い手確保・育成支援(447億円の内数・280億円の内数)▽中小建設事業主への支援(4.8億円)▽ものづくりマイスター制度による若年技能者への実技指導(23億円)▽建設分野における職業訓練「ハロートレーニング」の実施(1.3億円)。
大工技能者の担い手確保・育成支援では、木造住宅の生産体制の整備を目的に、中小工務店のDX化を支援。中でも労働環境向上を図る取り組みを重点的に支援する。
「魅力ある職場づくり」に関する施策では、中小企業・小規模事業者の安全対策支援を中心として、技能者の処遇を改善し、安心して働けるための環境を整備。予算額は、▽働き方改革推進支援助成金による支援(71億円)▽働き方改革推進支援センターによる支援(31億円)―のほか、▽建設業の一人親方の安全衛生対策支援事業(1.1億円)▽中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業の実施(9600万円)▽墜落・転落災害等防止対策推進事業(8700万円)―などを計上している。
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