国土交通省は12月25日、2023年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定した。製図の受験者1万238人のうち、合格者は3401人、合格率は33.2%だった。昨年よりも0.2ポイント上昇している。「学科の試験」からの受験者3万4479人に対する総合合格率は、3年連続で9.9%となった。
合格者の平均年齢は29.5歳で、男女比は「男性」が69.2%、「女性」が30.8%。学歴・資格別の内訳は、「大学」が最多の72.3%、次いで「二級建築士のみ」が17.6%、「専修学校」が5.1%など。大学別(学歴で受験)では、「日本大学」143人、「東京理科大学」117人、「芝浦工業大学」99人、「近畿大学」65人で合格者が多かった。職域別は、「建築士事務所」29.6%、「建設業」32.8%、「住宅メーカー」15.3%など。職務別は「建築設計」40.0%、「施工管理・現場管理」19.0%、「構造設計」7.4%などが多数を占めた。
2018年の建築士法の改正により受験資格が変更され、実務経験がなくても受験が可能となったが、今年度の試験で新制度の条件で受験した者は1125人(全体の33.1%)、平均年齢は25.6歳だった。従来制度で条件を満たしている者は2276人(同66.9%)で平均年齢は31.4歳。
設問のうち、建築計画では①多世代の交流促進および効率的な施設管理について配慮した計画、②ユニバーサルデザインや自然採光に配慮した計画、③省エネルギー化の実現・エネルギー自立度を高めた計画―といった時代のニーズに沿った内容が出題された。構造計画では①閉架書庫の構造的特徴に配慮した計画、②地盤条件や経済性を踏まえた基礎構造の計画―が出題されている。
不合格者のうちランクⅣ(重大な不適合)の該当者は全体の42.6%。「道路高さ制限、北側高さ制限」「延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の設置」で、重大な不適合が多く見られた。
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