政府は22日午後の臨時閣議で2024年度予算案を決定した。一般会計総額は112兆717億円と過去2番目の規模。予備費の圧縮などで、過去最大だった23年度当初予算を2兆3095億円下回る12年ぶりの減額編成となったが、社会保障費、防衛費、国債費は過去最大を更新し、総額では2年連続で110兆円を上回った。税収で賄えない財源不足を補う国債の割合(国債依存度)は31.2%と、借金頼みの財政運営が続く。
政府は予算案を年明けの通常国会に提出し、年度内成立を目指す。
予算案ではデフレ完全脱却へ「物価に負けない賃上げ」を目標に掲げた。岸田政権の経済政策「新しい資本主義」関連施策を推進する一方、新型コロナウイルス対策で膨らんだ歳出を「平時に戻していく」方針を打ち出し、経済再生と財政健全化の両立を目指した。
当初予算案の総額は23年度まで11年連続で過去最大を更新しており、減額は12年度以来。ただ、国会の議決なしで使える予備費を全体で1兆5000億円とし、コロナ禍やウクライナ危機への対応で積み増していた23年度当初と比べ4兆円減らした影響が大きい。防衛費増額に備える「防衛力強化資金」の繰り入れ分(23年度約3.4兆円)がなくなった一時的な要因もあり、これらを除けば拡大している。
歳出のうち政策に充てる一般歳出は67兆2764億円。内訳では、社会保障費が23年度比2.3%増の37兆7193億円と過去最大を更新。医療機関の収入となる「診療報酬」をマイナス改定するが、岸田政権が重視する少子化対策や高齢化に伴う自然増が全体を押し上げた。厳しさを増す安全保障環境を受け、防衛費は16.6%増の7兆9172億円となった。
一方、借金である国債の償還や利払いに充てる国債費は7.0%増の27兆90億円と4年連続で最大を更新した。日銀の政策修正に伴う長期金利の上昇基調を反映し、利払い費の算出に使う想定金利を23年度の1.1%から1.9%へ見直した。引き上げは17年ぶり。
歳入面では、税収として当初予算ベースで過去最大となる69兆6080億円を計上。物価高と好調な企業業績を背景に消費税収と法人税収は増える見込みだが、岸田文雄首相が国民への「還元」として実施する定額減税により、伸びは0.2%増にとどまった。歳入不足を補う新規国債発行額は1.9%減の34兆9490億円と3年連続で減るが、24年度末の国債発行残高は1105兆円に達する見込みだ。
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