経済産業省は、脱炭素化と経済成長の両立を図る「グリーントランスフォーメーション(GX)」とエネルギーの安定供給に1兆円超を充てる。太陽光や風力などの再生可能エネルギーや、燃焼時に二酸化炭素(CO2)が出ない水素の導入を加速するほか、原発の活用も推進する。
再エネは、軽くて折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」や設備を海に浮かべる浮体式洋上風力発電といった新技術の実用化を後押しする。548億円を計上し部材調達から支援する。天候による発電量の変動を軽減するため、蓄電池の整備も急ぐ。
水素は、石油など従来の化石燃料に比べてコストが高いため、その価格差に対する補助金支給に89億円を措置。支援は次年度以降も長期で続ける。各地の供給拠点整備には15億円を確保する。原発の最大限活用を掲げる政府方針を踏まえ、次世代原発の開発に計563億円を振り向ける。
このほか、鉄鋼や化学などの製造業でCO2排出を抑制できる製法に切り替えを促すため、必要な設備投資の補助に327億円を盛り込んだ。CO2を集めて地下に貯留する技術「CCS」や持続可能な航空燃料(SAF)の普及も進める。
経産省のGX関連事業の財源は6429億円で、来年2月に発行が始まるGX経済移行債で賄う。次年度以降に支出できる「国庫債務負担行為」を含むと2兆3641億円に上る。
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